七夕 一夜恋物語<ワンナイトラブ> 7月7日は七夕の日です。天の川を挟んで住んでいる織姫と彦星が、年に1度だけ二人が会うのを許される日です。 織姫と彦星のロマンティックな七夕物語は、古くは奈良時代に中国から日本へと伝わった伝説のようで、現在も色あせることなく語り継がれております。 物語のあらすじは、着物を織る仕事をしている織姫と、牛飼いの仕事をしている彦星を、織姫の父親である天の神様が年頃になった二人を結婚相手として引き合わせました。 結婚して楽しい生活を送っていましたが、働き者の二人は仲睦まじくするばかりで全く仕事をしなくなってしまいました。怒った神様は二人を、織姫を西に、彦星を東に、天の川で隔てて引き離しました。 しかし、今度は悲しみに明け暮れるばかりで働かなくなってしまいました。あまりにも悲しむ織姫を不憫に思った神様は、一年の間で7月7日の夜だけは二人が会うことを許したそうです。 天の川を挟んで光輝く、写真左上のこと座の恒星ベガ(織姫)、写真右下のわし座の恒星アルタイル(彦星)、これに、写真左端中央のはくちょう座のデネブを線で結んだものが『夏の大三角形』と言われています。 天の川を挟んで対岸に住むと云う織姫と彦星ですが、その距離はなんと約16光年、「今から会いに行くよ」と電子メールを出しても返事が来るのが32年後、ましてや光の速度にとても叶わない宇宙船で会いに行くとしたら、 ロマンティックな物語に水を差して恐縮ですが、会えるのは何億年後?と云うことになる。 これを巷では「ワンナイトラブ」だなどと呼ぶ人がいるが、正確には正しくないように思う。「ワンナイトラブ」とは和製英語のようだが、"One night of love" 又は "One-night stand" の意味であるが、 拙者のつれづれ草で書いた「くじり祭り」の女神・男神の場合もそうだが、織姫と彦星は実際は夫婦であり、 「夜を共にする」は当然の行為であり、年に一度しか交わらないとしても情事では無いので、巷で言われるところの「ワンナイトラブ」とは呼ばないと思う。 ここで、七夕に因んで拙者が詠んだ短歌二首を紹介して、七夕の話は終わりにし、少しくだけた話題ですがワンナイトラブ(=ワンナイトスタンド)について少し触れてみようと思う。 織姫と彦星の年に一度の「再会の夜」、はやる心を抑えて抱き合う二人を詠みて一首。 ”織姫と 逢瀬の君が 帯解くや 微かに漏れる 衣擦れの音” 年に一度の「逢瀬の夜」も終り、立ち去って行く君を悲しげに見送る織姫を詠みて一首。 ”織姫が 名残惜しむや 明別れ ひと夜の逢瀬 終りけるかな” <ワンナイトスタンド> 話が「一夜恋物語」になったので、ここで巷で話題になったりする卑近な言葉「ワンナイトラブ」に触れてみましょう。 「ワンナイトラブ」は英語では "ワンナイトスタンド (one-night stand)" と云い、日本語に訳すると「一夜だけの情事」だろうか。 しかし、日本では正確な英語の "ワンナイトスタンド" などと呼ぶことは無く、和製英語の「ワンナイトラブ」と呼ぶことが一般的だと思われます。 動物の中でも霊長類から進化した人類だけが、両性の’交わり’を子孫を残す生殖(Reproduction)だけの行為から発展させ、いわゆる「3R」と云われる性の行動スタイルパターンに進化させたと言われる。 すなはち、他の動物の性行動は発情期にのみ行われ、子孫を残すためだけに行われる。一般的に性行動には「快楽、Recreation」も伴いますが、他の動物はそれを目的として行なうのではなく、 雌の発情(年に一度だけ、正確には次の出産が出来る時期で数年後のこともある。例えば人間に近い類人猿のチンパンジーでも次の発情は6年後であるそうだが)に合わせて行なわれる。 これはそれぞれの種が長い年月の進化の過程でその種が長く生存・繁栄出来る仕組みをDNAに本能として組み込み、ただ本能に従っているだけの行動でありますが。 人類(現ホモサピエンス)は発情期のメカニズムを退化させ、常時交わることを可能(常時発情)にし、必ずしも他の動物に見られる生殖サイクルとは無関係に行う、「楽しむ性」を取り入れて進化してきた。 「生殖」を忌避する避妊具やピルの使用、妊娠避ける「安全日」の選択、出産不可能な閉経後の交接などは生殖(Reproduction)が目的で無いことを証明している。 人類は性に於けるもう一つの "R" の関係性・社会性(Relationship)は、子供が成人化するまでの時間が長く、夫に長い期間に渡って食料を確保させ運搬させる分業化をもたらし、 妻や子供のもとに帰る家族関係を発展させた。他の雌の所には行き難く、他の雌も受け入れ難い関係社会的基盤メカニズムを進化させたと思われる(一夫一婦制、一夫多妻制など)。 ここで話題にする「ワンナイトラブ」は "Reproduction"、"Relationship" をも排した "Recreation(楽しむ性)" の典型かも知れません。 さて、くだらぬ講釈が少し長くなり申したが、お許し下され。 昨今、テレビや週刊誌などに芸能人や著名人の不倫や情事が話題になることが多いが、著名人に多いわけではなく一般市民などの場合ではニュースに成りようがないだけの話ではある。 昔は少なく、現代は多いと言う訳でもないと思う。長い歴史のホモサピエンスのこと、急にDNAが変わることもなかろう。フランスやイタリヤなど欧州では大統領はじめ日本の比でないことが多々あるそうだがが、あまり騒ぐこともないそうな。 ただ話題になるこれらは、お互い同士が恋愛感情を持って、相手を充分に知って行う情事行為が主であり、「ワンナイトラブ」の場合は逆にお互いをあまり知ろうとせず、一夜だけで後腐れなく別れる情事のことを云う場合が多い。 独身の男女でも「一夜だけの」つもりで交わるのは「情事」と云うのかも知れないが、若者は成長段階で経験として性の"Practice"や"Joy"の追求をしたがるものである。 フランス語で似たような言葉に「アバンチュール(aventure)」があり日本でもよくこの言葉が使われているが、英語の adventure (冒険)と同じ語源で、大人の恋愛が出来るようになるためのアドベンチャーのつもりかも知れません。 独身の成人男女なら何時何処でどんな関係を持とうが知ったことでもない。 話題を最近のテレビに振りますが、TV放送で、さる大女優の〇田久子、大物芸能人と「ワンナイトはいっぱいあった」と激白! なるものが放映されました。 元ミス・ユニバース日本代表にもなった美人の彼女の若いころの恋愛遍歴の話題になると、「若いころはモテたよ」と告白。若いころから刺激的な恋愛をしていたという彼女は、 22~26歳の間はとくに数多くの男性に言い寄られたのだといい、「いっぱい言ってくるし、アタシもちょっかいを出してた。私の武器はお酒。そんなに酔わないので、酔ったふりができるしね」と、好みの男性を落とす恋愛テクニックも披露。 司会者が「ワンナイト的なこともあったのか」と尋ねると、「ワンナイトなんかいっぱいありましたよ」と赤裸々に語り、大物芸能人とのワンナイトラブについても「あったけど、もうみんな亡くなってるから」とあっさりと認めていた。 後に、不倫の末に1児をもうけ、ニューヨークで男児を極秘出産。相手が離婚成立した後でも事実婚を貫いたが、胃がんで相手も死去。今まで年下とは付き合ったことがないという。建前上は生涯独身を通しているそうな。 昔も今も、草食系もあれば肉食系もあり、純愛もあれば不倫情事もある。インターネットを通じたスマートフォンやPC等文明の利器の普及で少しばかり生活様式に変化をもたらしたかも知れないが、ホモサピエンスの行動は変らない。 ただ種の本能(DNA)の摂理に従っているのみ。 恋愛テクニック上手なこの大女優も、大物なる?殿方達も、共に後腐れなく人生を謳歌し「ワンナイトラブ」を楽しめたのなら、お目出度い話である。 彼女の現心境を勝手に想像し、拙者がここで一首。 ”なつかしや ひと夜かぎりの 目合ひ 今何処なりや あの殿方は” |